「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。
本書にも書きましたが、たとえ地味でも「他の人がやらない仕事」をやる。これが、転職の実績づくりで一番大事なことです。
しかし、「他の人がやらない仕事」にまい進しようとしても、自分一人の力で実現するには限界があります。何より、社内で目立つことをすると、反発を受けることもあります。スバル時代、僕がいきなり交流会を立ち上げたときは、正直一部の同僚からは煙たがられていて、社内からは「なぜあんなことをしているのか」との意見もありました。
そんなとき、いつも僕がやることを助けて、協力してくれたのが、長く同じ部署で働いていた30歳以上年齢の離れた先輩でした。直属の上司ではなかったのですが、何をするにも頼って、「教えてください!」と相談に行っていた僕を、入社当時からかわいがってくれていたのです。
先輩には高い技術力、実績、人望があり、社内では一目置かれる存在でした。正直、組織のヒエラルキーでは、トップに上り詰めていたわけではありません。しかし、多くの役員、管理職が「若いときに一緒に仕事をしたことがあり、実力を認めている」「あの人がいうなら間違いない」と信頼を寄せる人物だったのです。
スバルで僕が新しい仕事を立ち上げられたのも、最終的にはその先輩が、僕の直属の上司や、その上の部長を「山下はやる気だから、ぜひ任せてあげてくれよ」と説得してくれたからでした。
何かやりたいことがあって、それをチームに手伝ってもらって実現したいなら、実際に意思決定をする人をおさえるのはもちろんですが、「影の影響力」を持つ人=キーパーソンの存在に気づき、人間関係を築くことがとても重要なのです。
僕が考えている「キーパーソン」の条件は次のようなものです。どの企業にも、必ずいると思うので「あの人はあてはまるかな?」と考えてみてください。有能ゆえに一筋縄ではいかない人物の場合もあるかもしれませんが、だからこそ、僕らの大きな力になってくれるはずです。
・現在も「現場の第一線」の知識がある
・周りの人にはない特別なスキルを持っている
・幹部たちの同僚、または先輩
・どんな人にもフラットに接する
・職位は必ずしも高くない
「権力があるから近づく」のではなく、「心からの敬意を持って近づく」。そういう若手に対して、実力がある人ほどちゃんと理解して、仕事を進めるときに味方になってくれます。