「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。
僕が本書でおすすめする「わらしべ転職」は、図の「企業が求める能力」の基準が緩くなるときにチャンスがあります。
企業が求める能力と個人の能力。この2つのグラフが近づくタイミングを狙うためには、自分が入りたい会社をある程度絞り込む必要があります。なぜなら採用基準が高いか低いか、今後どう変化するかは、業界ごと(場合によっては会社ごと)に違っているからです。
釣りでたとえるなら、まずは、「自分が釣りたい魚、釣りたい場所」を選んで網を仕掛けておく。そして、タイミングが来たら引き上げる。
ただし、会社選びの最初の段階では、1社に絞る必要は全くありません。むしろざっくり「業界」あるいは「複数社の候補」を出し、それらのなかで中途採用の募集があったタイミングでどんどん受けていくやり方が、結果が出やすいと思います。
ここ数年、「人生100年時代を見据えた働き方」といったフレーズを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、僕は正直「100年生きることを前提としたキャリアプランの重要性」を説かれても、違和感を覚えます。特に転職については、こうした長期視点は不要だと考えています。
だからといって「ただ目の前の仕事に打ち込もう!」という近視眼的すぎる考え方では、なかなか難関企業には内定をもらえません。そこで僕は、「2年以内に入りたい会社」を決めることにしています。
理由は2つあります。
ひとつ目の理由は、「転職市場の波」は、常に動いているから。今採用に積極的な業界が、2年後に同じ状況かは正直誰にもわかりません。僕にチャンスが回ってきた「コンサルティング業界」も、この先ずっと大量採用が続くかは未知数。だから、先のことを考えるのはスッパリやめたほうが賢明なのです。
2つ目の理由は、「2年」あれば、入社できる確率が高くなるから。
2年は、個人がスキルを身につけ、目標を達成するのにちょうどいい単位です。大学院の入学から修了までが2年。僕自身、スバル時代に「コンサルタント」という職業を知ってからPwC入社までの期間がだいたい2年。実績を積み、異業種への転職をすることができました。
僕の友人で、大学の情報工学系の学部出身ではないのに大手外資系IT企業にエンジニアとして入社した猛者がいるのですが、彼がゼロからITスキルを身につけて入社するまでの期間も、2年くらい。20代でGAFAの営業部門に入社できた友人も、初めて営業職についてから、2~3年で内定をもらっていました。
もちろん「大企業の社長になる」というような長期的目標は、2年ではかなえられません。しかし、どんなに大きな目標も「2年でできることの積み重ね」と考えることでハードルが低くなり、実現の可能性が高くなります。「2年で社長のカバン持ちを極める」「2年で財務の知識を手に入れる」と考えていけば、その先に社長の座も見えてくると思います。
★著者への転職相談を募集中! TwitterのDMにお寄せください! @RyosukeYamashit
山下良輔(やました・りょうすけ)
Exception株式会社代表取締役。
1989年、愛知県生まれ。名古屋工業高等学校卒業後、2008年に株式会社松田電機工業所(自動車部品メーカー)に入社。愛知県の工場で生産技術エンジニアとして働く。入社5年目の22歳で、海外(タイ)工場─立ち上げのプロジェクトに参加。1年半にわたる海外駐在を経験。2014年、株式会社SUBARUに転職。先行開発に携わる傍ら、自ら他社に声がけして「共同研修プログラム」を立ち上げ。
2016~2018年、東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)に働きながら通い、修了。
「プロジェクト単位の仕事がしたい」とコンサルティング・ファームへの転職を決意。2018年~PwCコンサルティング合同会社、2019年~デロイトトーマツ コンサルティング合同会社にて、コンサルタントとして勤務。大手メーカーへの業務効率化の支援などを行う。2021年8月に独立。現在はException株式会社の代表として、企業の組織設計、採用支援、キャリア開発などを行う。Twitterでも転職・キャリアについての情報発信を積極的に行っており、20代、30代から支持を得ている。Twitterには年間100件以上の転職・キャリアの相談があり、相談者から「異業種に転職できた」「交渉した結果、年収が200万円アップした」「高卒でも、20代で年収1000万円を超えた」など、多くの喜びの声が寄せられている。自身の転職ノウハウをまとめた初の著書『転職が僕らを助けてくれる』を発売。
Twitter @RyosukeYamashit
Photo: Motoko Endo
なぜ僕は高卒から30歳年収1000万になれたのか?――『転職が僕らを助けてくれる』に込めたメッセージ
人生を変える最もコスパがいい方法は「転職」。
これが、「やりたい仕事をやりながら、高卒からでも30歳で年収1000万円を超えた」僕の結論です。
転職する人は増えました。
でも、そこに「戦略」がなければ、残念ながら単に職場が変わるだけで終わりです。
「スカウトされる人材になれ」
「社内MVPをアピールせよ」
「どの会社でも役立つスキルを手に入れろ」
今すぐこうした「エリート向けの転職の常識」は捨ててください。
この本で紹介する「5つの戦略」を知るだけで
「新卒採用で落ちたあの会社」
「学歴の基準で手が届かないあの会社」
に受かることができます。
親、学歴、失敗した就職活動……
過去は関係ありません。
僕らは今、この瞬間から
新しい人生を始めることができるのです。
どんな人に役立つの?
・新卒で希望の会社に入れなかった
・憧れの職業はあるが「どうせ無理」とあきらめている
・リスクはとらず、年収を上げたい
・学歴に引け目を感じている
・外資系・コンサルティング業界に興味がある
著者はどんな人?
・偏差値40以下の工業高校卒業
・新卒では地元の自動車部品工場に就職
・SUBARU→コンサルティング・ファームに転職
・そのほかにも外資系コンサル、外資系ITに内定
転職本と何が違う?
・きれいごと、常識は一切無視! 抜け道を全公開
・ジョブチェンジに完全対応。業界知識ゼロでもOK
・「やりたいことない、年収だけ上げたい」にも対応
・意外に手強い「メンタルブロック」の解除法も伝授
本書の主な内容
はじめに 圧倒的にコスパがいいのは出世より「転職」
僕の「わらしべ転職」年表
第1部 転職活動編
序章 新卒で入れなかったあの会社に入社する「5つの戦略」
1 「転職活動」と「転職準備」は車の両輪
戦略①【会社選び】適職を探すより「波」に乗れ
戦略②【書類選考・面接】成果より「思考のプロセス」を語れ
戦略③【転職エージェント】人生相談するより「情報」を聞き出せ
戦略④【実績づくり】出世のためより「転職を前提」に働け
戦略⑤【身だしなみ】生まれつきの容姿より圧倒的な「清潔感」
2 転職のゴールを見失ったら「3択」から選べ
3 「ヘッドハンティング」「リファラル採用」は無視せよ
第1章 会社選び
「会社選び」の戦略─適職を探すより「波」に乗れ
4 人生100年は見据えずまず「2年後」を考えろ
5 【会社選び①】「今の年収」「今の仕事」を基準にしない
6 【会社選び②】日本の「年収ランキング」を知る
7 【会社選び③】「モチベーションチャート」で自分がやりたいことを言語化する
8 【会社選び④】「業界」「職種」「職位」「希望年収」を書き出す
9 企業の「採用条件が緩くなるタイミング」を逃すな
10 【タイミング①】外資系の「年中無休」採用を狙う
11 【タイミング②】「売上急拡大」で人手不足の会社を狙う
12 【タイミング③】スタートアップの「資金調達後」を狙う
13 今すぐ「一発逆転の呪い」を解け
14 【ステップの踏み方①】難関企業社員の「前職」を狙う
15 【ステップの踏み方②】ジョブチェンジを「異動」で試す
16 受けても意味がない「NG企業」を排除せよ
column 転職vs起業vs副業どれが最強か?
会社選びの5カ条
第2章 書類選考・面接
「書類選考・面接」の戦略─成果より「思考のプロセス」を語れ
17 相手のことを徹底的に調べろ
18 【リサーチ①】「求人票100本ノック」で業界に必要な知識がわかる
19 【リサーチ②】企業側の「募集背景」を知る
20 書類を出すのは「受かったら入社する企業」だけ
21 【職務経歴書①】未経験の壁はスキルの「ひも付け」で突破する
22 【職務経歴書②】一貫性は「職種」ではなく「スキル」で通す
23 【職務経歴書③】自己PRには「STAR」を入れる
24 【職務経歴書④】数字は相手が想像しやすい「単位」で書く
25 【職務経歴書⑤】営業ではなくても「数字の実績」はつくれる
26 面接は「自分をPRする場」ではない
27 【面接テクニック①】「質問を誘うエピソード」を話す
28 【面接テクニック②】相手の「課題」をさりげなく聞き出す
29 【面接テクニック③】逆質問は「調べてわかること」を聞くな
30 【面接テクニック④】痛いところを突かれても「盛る」のは禁止
column 学歴は無理に塗り替えなくていい
書類選考・面接の5カ条
第3章 転職エージェント
「転職エージェント」の戦略─人生相談するより「情報」を聞き出せ
31 「あなたには難しいですよ」のアドバイスは完全スルー
32 プロだけが知っている「クローズド情報」を手に入れろ
33 【プロだけが知っている情報①】入社したい業界・企業の採用状況(拡大? 縮小? 中途採用はある?)
34 【プロだけが知っている情報②】入社したい業界・企業へ転職成功した人のスキル、経歴
35 【プロだけが知っている情報③】入社したい企業の面接(質問内容、判断基準)
36 【プロだけが知っている情報④】入社したい企業に受かった人の実際の年収(同じポジションの最高額)
37 給与交渉は、必ずエージェントを挟め
38 【給与交渉①】給与交渉は「現状のまとめ」から始まる
39 【給与交渉②】「もし現職にいたら上がる分」も交渉する
40 内定後も「気楽に連絡できる仲」を継続せよ
転職エージェントの5カ条
第2部 転職準備編
第4章
「実績づくり」の戦略─出世のためより「転職を前提」に働け
41 社内MVPではなく「他の人がやらない仕事」を狙え
42 【他の人がやらない仕事①】社内の評価=転職に役立つ実績ではない
43 【他の人がやらない仕事②】「個人が稼ぐ利益」を意識する
44 【他の人がやらない仕事③】プロジェクトを「少人数で、小さく」立ち上げる
45 【他の人がやらない仕事④】ルーティン業務でも「自分なりの工夫」を言語化する
46 【他の人がやらない仕事⑤】安定して「5段階中4の評価」をとれ
47 社内政治とは違う「人間関係」を重視せよ
48 【実績につながる人間関係①】人望ある「キーパーソン」を攻略せよ
49 【実績につながる人間関係②】顔と名前を売って「声がかかりやすい人」になる
50 【実績につながる人間関係③】「上司を出世させるために自分は何をすべきか」と考える
51 「成長企業」にいると最速で実績が積める
52 退職交渉も「仕事」の一部
column 「社内資料」こそ若手にとっての最強の教材
実績づくりの5カ条
第5章 身だしなみ
「身だしなみ」の戦略─生まれつきの容姿より圧倒的な「清潔感」
53 清潔感は「たった4つの要素」で決まる
54 1000円カットでもセルフでも、髪はこまめに切れ
55 【髪①】仕事と面接では前髪をつくらず「おでこ」を出す
56 【髪②】たどりついた独自のケア「湯シャンと豚毛ブラシ」
57 不潔なスーツと清潔なTシャツ、選ばれるのはどっち?
58 【服①】「ジャストサイズ」なだけでどんな体型でも清潔感が出る
59 【服②】日常の仕事は「無地」の全身ユニクロ
60 見た目改善のコスパ第1位は「眉毛」
61 【眉毛①】清潔感がある眉毛には「輪郭」がある
62 【眉毛②】アートメイクは目力を強める「リターン最強の投資」
63 高い化粧品を買う前に「皮膚科」に行け
64 【肌①】「血色がいい人」は仕事で相手を不安にさせない
65 【肌②】ヒゲ脱毛は「清潔感と時短」が同時にかなう
66 オンライン面接では「照明」対面面接では「細部」に気をつかえ
column 僕が使っている美容グッズ一覧
身だしなみの5カ条
終章 最後の壁、「メンタルブロック」を解く
67 メンタルブロックを解くには「反復練習」が必要
68 【メンタルブロック解除①】「なぜ?」と問いかける練習
69 【メンタルブロック解除②】「応募条件」を無視する練習
70 【メンタルブロック解除③】書類選考で「落ちても気にしない」練習
71 【メンタルブロック解除④】どうしてもダメなら「あきらめる」練習
おわりに 「どうせ無理だよ」という呪い