今年はインフレが急上昇する中で、ある副作用が見逃されがちとなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策が、過熱する経済にさらに油を注いでいるというものだ。FRBは、フェデラルファンド金利(FF金利)と呼ばれる短期融資金利をコントロールすることで借り入れコストに影響を及ぼしている。新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年3月以降、景気刺激を狙って同金利の誘導目標をゼロ近辺に維持してきた。だが、経済モデルにおいて最も重要なのはインフレ調整後の実質金利である。インフレによって将来の返済の現在価値が減るためだ。経済学者のクリスティーナ・ローマー氏とデービッド・ローマー氏は2004年の論文で、実質金利は「金融政策姿勢を判断する最も基本的な指標と言えよう」と述べている。