多くのビジネスパーソンの支持を集める、登録者60万人超えの「サラリーマンYouTuber」、サラタメさん。
注目の処女作『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』は600ページ超えの超大作で、まさに“鈍器本”だ。
「仕事がデキない」「残業だらけ」「上司とソリが合わない」「転職したい」「老後のお金が不安」といった、人生100年時代を生きるサラリーマンの悩みを、まるごと解決してくれる本書から、その一部を抜粋して紹介する。
・心理法則に基づいた交渉テクニック7選
◎1.一貫性の原理
◎2.アンカリング効果
◎3.返報性の原理
◎4.両面提示
◎5.決定回避の法則
◎6.損失回避の法則
◎7.バンドワゴン効果
【注意】
あくまで小手先のテクニック。「お互いのWin-Winのポイントを探る」ことが大前提
マモル:サラタメさん、おかげさまで得意先と良好な関係性が築けてきました! もうすぐ大きな取引が決まりそうなんですが、最後のひと押しで注意すべきことはありますか?
サラタメ:いくつかあります!! 本書P158で触れたように、「お互いがWin-Winになれるポイントを探すこと」が大前提になりますが、その後に使える交渉テクニックをお伝えしますね。
マモル:どんなテクニックなんですか!?
サラタメ:心理学に基づいた交渉テクニックです。かなり効果的ではあるのですが、その分、くれぐれも使い方に注意してください。悪用厳禁です!
交渉の場面で使える心理法則7選
●1.【一貫性の原理】小さなYESを引き出そう
「自分の言動を一貫したものにしたい」という心理。一度YESと言うと、自分から覆しにくくなります。たとえば禁煙するにしても、誰かに宣言したほうが成功しやすいのは、この心理が働くため。
活用法
・相手の反応をよく確かめ、明確なNOにつながる質問をしない
・序盤は、ハードルの低い要求をする
・コツコツとYESだけを積み上げてから本題に入る
●2.【アンカリング効果】相手の頭に基準をつくろう
最初に提示された条件が頭に刷り込まれ、その後に提示された条件も、最初の基準に合わせて意思決定してしまう心理効果。相手が十分な情報を持っていないとき、より強力に効果を発揮します。語源は「アンカー(anchor、船の錨)」。相手に与える印象の錨をおろすようなイメージ。
「この商品が30万円以上したら、さすがに買わないですよね? 実際は12万円です」
このように、前後関係につながりや根拠がなくても、「30万円」という基準が頭にインプットされてしまう効果があります。そのため、使う場合も使われる場合も、細心の注意が必要です。
活用法
「普通なら納品に10日かかるのですが、今回は3日で納品できるようにします」
「通常は5万円で販売している商品なのですが、初回限定で2万円にします」
サラタメ:アンカリング効果だけを狙い、まったく根拠のない数字を使うと「景表法(景品表示法、正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」に反するケースがあります。くれぐれも悪用されぬよう。
●3.【返報性の原理】損して得とれ
なにかしらの贈り物を受けた場合、「お返しをしなければ」とギブ・アンド・テイクを意識してしまう心理現象。たとえば大事な交渉の前に、相手に「貸し」をつくっておくのも活用法の一つです。
活用法
・商品を無料サンプルとして渡す
・有益な業界情報を提供する
・関心を寄せ、好意を伝え、「あなたは重要な人物である」と表現する
●4.【両面提示】デメリットは自分から
メリットだけでなく、デメリットまで提示されると誠実さを感じ、デメリットについて深く追及しなくなる心理法則。
「この商品は、欠点のつけようがない素晴らしい商品です」とメリットのみを提示すると、相手は「きっとどこか欠点があるはず」と粗探しを始めてしまいます。デメリットは相手に指摘される前に、自ら提示するようにしましょう。
活用法
「この商品の『機能』には自信があります。一方、『価格』に関しては、正直、他社のほうが安いです。価格だけで選ぶなら、他社がいいと思います。ただ、機能にこだわる御社であれば、弊社商品のほうが合うと思いますが、いかがでしょうか?」
●5.【決定回避の法則】選択肢は3つに
人は選択肢が多すぎると、逆に選べなくなってしまう心理法則。多くの選択肢から、優先順位に沿って一つの答えを選び抜く行為は、脳に大きな負荷がかかるため、自然と避けたくなります。
相手にスピーディな決断を促したいときには、選択肢をわかりやすくしたり、絞ったりして、脳の負荷を軽減してあげましょう。
活用法
・特徴的な3択に絞って提案する(差があいまいだと迷う要因になるので注意)
・相手の評価軸に沿って、下のように比較表をつくる
●6.【損失回避の法則】「損したくない」を刺激しよう
「得」するより「損」するほうを重大にとらえ、それを避けたいと強く思う心理現象。つまり、「損しない」をアピールしたほうが、相手が決断しやすくなります。「プロスペクト理論」とも呼ばれる。
活用法
・自社商品を買わない場合に想定される「損失」を強調して提案
・期間限定キャンペーンで「今買わないと損する」印象を与える
●7.【バンドワゴン効果】行列を見せつけよう
多くの人がすでにやっている、もしくはみんなに人気があるというだけで、自分の好みにかかわらず、よい選択だと思い込んでしまうこと。「行列ができているレストランだから、きっとおいしい」と思ってしまうのは、「バンドワゴン効果」の一例。
活用法
「Amazon総合ランキングで第1位を取った商品です」
「毎回100名の会場が満員になるセミナーです。ぜひお越しください」
サラタメ:心理法則を用いた交渉術は効果的ですが、あくまで小手先のテクニックでしかありません。なによりもまず、「お互いのWinーWinのポイントを探る」という原則が最優先です。もし逆に、このような小手先のテクニックだけで交渉を仕掛けてくる人がいたら、要注意です。
マモル:なるほど。怪しいセールストークにダマされないためにも、この7つの心理テクニックは覚えておいたほうがよさそうですね。
(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)
・心理法則に基づいた交渉テクニック7選
◎1.一貫性の原理
◎2.アンカリング効果
◎3.返報性の原理
◎4.両面提示
◎5.決定回避の法則
◎6.損失回避の法則
◎7.バンドワゴン効果
【注意】
あくまで小手先のテクニック。「お互いのWin-Winのポイントを探る」ことが大前提