多くのビジネスパーソンの支持を集める、登録者60万人超えの「サラリーマンYouTuber」、サラタメさん。
注目の処女作『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』は600ページ超えの超大作で、まさに“鈍器本”だ。
「仕事がデキない」「残業だらけ」「上司とソリが合わない」「転職したい」「老後のお金が不安」といった、人生100年時代を生きるサラリーマンの悩みを、まるごと解決してくれる本書から、その一部を抜粋して紹介する。
・交渉は単なる駆け引きではない
・やたら強気の「ハード型」も、いいなりの「ソフト型」もダメ
・グレーゾーン(Win-Winのポイント)を一緒に探すのが正しい交渉
・実践法は3ステップ
1.相手にとことん話してもらう
2.お互いの要望を語り尽くす
3.グレーゾーンを一緒に探す
マモル:得意先と徐々にいい関係性を築けてきたんですけど、肝心の商品を売り込めないんですよね……。
サラタメ:あら、そうなんですね。なぜですか?
マモル:得意先のバイヤーさんは安く買いたいのに、ボクは営業マンなので少しでも高く売りたい。利害が一致していないから、敵対関係のようになってしまって。どうにも話が進まないんですよ……。
サラタメ:なるほど。でしたら、そもそも「お客さんと敵対している」という考え方は、完全にリセットしたほうがいいですね。互いに必要な情報をしっかり出し合えば、仲間関係に持ち込めるはずです。
マモル:売り手と買い手なんですから、仲間関係はさすがに無理じゃないですか?
サラタメ:いえ、いけます。バイヤーさんの「安く買いたい」をもっと深掘りすべきです。そうすれば、白黒つける敵対的交渉ではなくて、一緒にグレーゾーンを探す協同作業になるはずです。
交渉とは敵を論破することではない
「うまい交渉」というと、こんなものをイメージするのではないでしょうか。
・なめらかな口調でプレゼン
・相手の反論を全部つぶして論破
・自分の思いどおりの結果に持ち込む
勘違いされがちですが、こういった交渉は決していいものではありません。
いわゆる「ハード型の交渉」といわれるもので、長期的な関係性が築けない「ヘタな交渉」の一つです。
長く続く良好な関係は、Win-Winだからこそ成り立つもの。圧倒的なトーク術で、無理やり厳しい条件を呑ませても、意味がありません。相手が本心で納得していなければ、どこかで必ずしっぺ返しを食らいます。
かといって、相手のいいなりになる「ソフト型の交渉」もNGです。
争いごとが苦手な人や、経験が浅い若手に多いのですが、こちらは交渉相手がタチの悪い「ハード型」だった場合、非常に大きな損失を食らうことになります。
サラタメ:やたら強気の「ハード型」も、全部鵜呑みにする「ソフト型」もダメです。交渉は、本質的には「駆け引き」ではありません。目指すべきは、「グレーゾーンを一緒に探す交渉」なんです!
交渉のグレーゾーンとは?
「グレーゾーンを一緒に探す交渉」とは、ザックリいうと、交渉相手とWinーWinになれるポイントを丁寧に洗い出し、すり合わせるような交渉を意味します。
わかりやすい事例を紹介しましょう。
たとえば一つのミカンを、AさんとBさんが奪い合い、交渉するとします。
●ハード型の交渉
Bさんを論破し、ミカンをまるごと奪う。ただ、Bさんに恨まれる。
●ソフト型の交渉
Bさんの言うとおりにしているうちに、いつのまにかBさんにミカンをまるごと奪われてしまった。
●グレーゾーンを探す交渉
よく話し合い、互いに本当に求める条件を確認したところ、
・Aさんの要望「ミカンの中身を食べたい」
・Bさんの要望「ミカンの皮でジャムをつくりたい」
とわかり、中身と皮を仲よく分け合うことで、交渉成立。
この事例はできすぎたものですが、「グレーゾーンを探す」とは、ミカンの皮と中身を分け合うようなポイントを探すことなのです。
実際にグレーゾーンを探す3ステップ
サラタメ:グレーゾーンを探す具体的な方法は、1.相手にとことん話してもらう、2.お互いの要望を語り尽くす、3.グレーゾーンを一緒に探す、この3ステップです。
1.相手にとことん話してもらう
セールスマンが最初から要望ばかり伝えて、得意先が聞き入れてくれるなんてことは、そうそうありません。まずは、「アピール」より「傾聴」に徹するべきです。「承認欲求」を刺激する会話力(本書P151)を参考に、まず相手の話したいことを全部吐き出してもらいましょう。
2.お互いの要望を語り尽くす
ある程度、腹を割って話せる関係性を築けたら、互いの要望をすべて語り尽くします。
大事なことは、「安く買いたい」「高く売って売上を上げたい」といったうわべの話で終わらせないこと。
そして「ソフト型」に成り下がらないよう、たとえ営業する側であっても遠慮せず、自分の要望をなるべく具体的に伝えることです。
〈うわべでなく腹を割って話せているOK例〉
●買う側
「安く買いたい」というか、10月はうちのお店の30周年記念祭があるから、そのタイミングだけめちゃくちゃ安くしてくれればいい。記念祭のときだけでも、御社から安く買って利益が出せれば、ぶっちゃけ、私の社内での評価が上がりそうなんだよね。
●売る側
「高く売ってこい」って上司に言われてはいるんですけど、年に1回くらいなら特別値引きができるかもしれません。期間限定で値引きした後に、定価に戻して引き続き取引していただけるなら、こちらとしてもいい話です。
サラタメ:生々しい話、私も含め多くのサラリーマンは、純粋に「会社のため」に動いているわけではありません。「出世のため」「ボーナスのため」「上司に怒られたくない」といった本音が、心の奥底に隠されているはず。その本音をどれだけ相手から引き出せるかの勝負です。
3.グレーゾーンを一緒に探す
ステップ2で、お互いの要望を語り尽くすことができれば、あとは簡単。それぞれの要望が最も叶うポイントを一緒に探していくだけです。
この事例なら、「10月限定で大きく値引きする代わりに、その後も定価で商品を導入してもらう」という着地になるでしょう。
サラタメ:もちろん毎回、両者がキレイに得するグレーゾーンが見つかるわけではありません。ただ、商談相手はWinーWinのポイントを一緒に探す「仲間」という認識を持つだけで、あなたの交渉にポジティブな影響があるはずです
(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)
・交渉は単なる駆け引きではない
・やたら強気の「ハード型」も、いいなりの「ソフト型」もダメ
・グレーゾーン(Win-Winのポイント)を一緒に探すのが正しい交渉
・実践法は3ステップ
1.相手にとことん話してもらう
2.お互いの要望を語り尽くす
3.グレーゾーンを一緒に探す