【香港】中国の政策担当者は昨年、新型コロナウイルス禍からの景気回復がちょうど一巡するタイミングで、経済不均衡という長期的な問題に対処するための措置を相次ぎ導入した。だが、構造問題への対応は世界第2位の中国経済を揺るがし、短期的に経済活動に深刻な打撃を与えることになった。
中国指導部はここにきて、一転して景気の下支えに躍起になっている。17日公表された昨年10-12月期(第4四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比4%増と、コロナ禍から景気が回復に向かい始めていた2020年4-6月期以来の低い伸びとなった。
指導部はまず、住宅ローンの与信拡大など、当初導入した引き締め策の一部緩和に着手した。17日には、中国人民銀行(中央銀行)が二つの主要政策金利の引き下げを決定。指標となる貸出金利の追加引き下げに道を開いた。
しかし、コロナ禍を巡る不透明感が一段と増しているほか、不動産市況の悪化には歯止めがかかっておらず、エコノミストは輸出需要の落ち込みにも近く直面すると予想している。
一方で、あまりに急速あるいは劇的な緩和に踏み切ることのリスクも大きく、中国当局が政治的に重要な年に、綱渡りの経済運営を迫られている構図が浮き彫りとなっている。