いま進められている選挙戦は、昭和25年に制定された法律の下で行なわれている。したがって、インターネットやツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアがコミュニケーションのツールとして広く社会に浸透しているにもかかわらず、法律はそれを想定していないため、選挙運動で活用する事は禁止されている。ネットを積極的に活用した選挙が繰り広げられている先進国から、日本は遥か遠く遅れた位置にいる。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

昭和25年制定の法律で
繰り広げられる選挙戦 

  インターネットやソーシャルメディアに詳しい二人の有識者が憤る。

「これは言論統制されているようなもの。政治に関心があるのに、語れない状況に追い込んでいる」(アジャイルメディア・ネットワーク社長CEO・徳力基彦氏)

「世代間闘争だ。また、これまでの選挙で当選してきた金持ちの政治家のための選挙戦だ」(ジャーナリスト・津田大介氏)

 これは公職選挙法によって、インターネットによる選挙運動が禁止されている事に対するコメントである。ネット選挙解禁については2000年代から議論されてきた。ところが一向に解禁されないまま、今回も衆院選に突入してしまった。

 今回の選挙と公職選挙法を時系列で照らし合わせてみよう。まず、11月16日に野田佳彦首相が解散を宣言し、12月4日(火)公示、12月16日(日)投開票というスケジュールが決まった。公示までの間、政党の乱立と合流が繰り返され、メディアの報道は選挙一色となったが、この間は公職選挙法では「事前運動の禁止」で、公示前に立候補予定者を当選させるための活動(選挙運動)をしてはいけない。

 したがって「立候補するから私に投票をしてください」と言っていた政治家はいなかったはずだ。フライングを禁止していて、ここまでは理解ができる。

 問題はその後だ。公示日以降、立候補者は本格的な「選挙運動」が許され、街頭演説や講演会などが連日のように繰り広げられる。しかし、選挙運動にインターネットは一切活用できない。