しばらく時間がかかったが、米半導体大手ブロードコムにようやく市場の関心が戻ってきたようだ。半導体メーカーとして年間売上高で世界5位の同社はここ数年、多くの同業他社の時価総額を押し上げた株高のほとんどに乗り遅れている。ブロードコムの上昇率はフィラデルフィア半導体株指数を2020年に約13ポイント、一昨年には36ポイントほど下回った。今月決算を発表した8-10月期(第4四半期)を含め、今年のほとんどの期間において出遅れてきた。だがその後、同社株は14%跳ね上がり、年初からの上昇率が57%に達した。フィラデルフィア半導体株指数の上昇率は41%となっている。なぜ市場は心変わりしたのか。直近の財務報告では、11-1月期の売上高が市場予想を5%上回る見通しが示され、ブロードコム製の半導体搭載スマートフォンの販売が季節的に急激に落ち込むとの懸念が和らいだ。同社はさらに、四半期配当を14%引き上げ、100億ドルの自社株買いを発表した。いずれの措置も、大型の買収対象が見つからなかった場合、より多くの現金を株主に還元するという、これまでの約束に沿ったものだ。