人工知能(AI)開発を手掛ける中国の商湯(センスタイム)は、逆風を乗り越えて上場にたどり着いた。次なる課題は、収益化への道筋をつけることだ。センスタイムは29日、新規株式公開(IPO)で約7億ドル(約803億円)を調達すると発表したが、これは仮条件レンジの下限だ。同社の顔認識技術が新疆ウイグル自治区でイスラム教徒などマイノリティー(民族的少数派)の弾圧に使われているとして、米政府の投資禁止リストに追加されたことを受け、今月になってIPOの延期を余儀なくされていた。同社は、米政府による制裁は未上場の子会社にのみ適用されるとの法的助言を受けたとして、今週に入りIPOに向けたプロセスを再開したが、米国人投資家はIPOから除外する形となった。中国の政府系企業を含む戦略的投資家の支援も、嵐を切り抜ける一助となった。