過去最高の当たり年となった米国の新規株式公開(IPO)市場だが、厳しい現実が横たわる。年末にかけて高成長株が売り込まれ、今年上場した企業の3分の2は、足元では株価が公開価格を下回っている。伝統的なIPOによる資金調達額は今年、過去最高に達した。年初から8月末までを見ると、IPO企業の株価は公開価格を上回った。調査会社ディールロジックによると、11月は平均で12%高だった。ところが12月下旬までには9%安に転じた。投資家やバンカー、トレーダーらは年末にかけてのIPO株失速について、主に2つの要因を挙げている。インフレ急伸を背景に中央銀行が来年の利上げを示唆したため、テクノロジー株全般に対する売り圧力が強まった。成長企業が将来生み出す収益に期待する投資家にとって、金利上昇は機会費用に関する見通しの修正を意味する。金利がゼロ近辺であれば、将来リターンが拡大することを前提にプレミアムを支払うことは理にかなっているかもしれない。金利上昇となれば、こうした見通しが崩れることになる。
米IPOラッシュの21年、株価は終盤に急失速
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