ユニクロの柳井正氏も
孫氏のゴルフ仲間

 さて、前出の孫氏は、ユニクロで知られるファーストリテイリングを率いる柳井正会長兼社長ともゴルフ仲間だ。お互い負けず嫌いで、腕前は超一流。孫氏は2013年12月、人生初のホールインワンを達成した瞬間の写真をTwitterに投稿し、話題になったが、柳井氏もホールインワン達成者だ。その時、柳井氏は「ACE1」と書かれたポロシャツを関係者に配ったという。当然ユニクロ製だったのだろう。

 2人のプレイスタイルの共通点は「とにかくせっかちなこと」だ。ゴルフは確かに待ち時間が長いのだが、それは一つ前の組のプレイに時間がかかると、後の組にしわ寄せが来るからでもある。

 そういう意味で心に余裕がなければ楽しめないスポーツでもあるのだが、孫氏や柳井氏は「まだ打てないんですか」とダメなことが分かっていながらキャディに尋ねたりするという。かといって、いら立って悪態をついたり、キャディに当たったりするようなことは2人とも絶対にしないといい、これもまた大きな共通点だ。

 こうした人柄が出るのもゴルフの面白いところだ。自分の努力だけではどうにもならないストレス状態に置かれたときや、思い通りのショットができなかったとき。あからさまに不機嫌になるプレイヤーもいる。また、こっそりとボールを打ちやすいところへ移動させたり、部下がそうした気を遣うように仕向けたりする上司もいる。

 風向きや状態を確認したのにうまくいかなかったからと、キャディに責任を押し付けるような醜態をさらす人も、実際のところ少なくはないのだ。

 だが一流経営者ともなれば、ショット一つに一喜一憂したりしない。ミスショットをしても、自力でリカバリーする。いや、「一流経営者だからプレイに臨む姿勢が美しい」というよりも、むしろゴルフによって、試行錯誤や危機において平常心を保つ鍛錬ができているのかもしれない。