ロシアが先週、カザフスタンに「平和維持部隊」を派遣したことについて、一部のコメンテーターは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって後退を意味するとの見方を示した。彼らはこれが、プーチン氏の弱さの象徴だと受け止めた。ウクライナ国境付近に軍を展開したプーチン氏の行動が失敗しつつあることと、民衆の新たな抵抗運動が旧ソ連圏の他国にも波及して独裁政権を倒しかねないことは、プーチン大統領の戦略的計算を困難にしているという見方だ。この論理が暗に示す当然の結論は、北大西洋条約機構(NATO)の東の境界線とロシアの西の国境線の間にあるグレーゾーンに位置するウクライナなどの諸国に関して、米国と欧州諸国は決して挑発的行動を取ってはならないということになる。米政治ニュースサイト「ポリティコ」が指摘するように、この単純な社会通念によれば、カザフはロシアの問題であり、そこでは「米国は実質的な影響力を持っていない」というわけだ。予想通り、カザフ危機に関する米国務省の最初の反応は「当局と抗議行動参加者双方の自制」を求めるという、道徳的比較判断だった。
【寄稿】カザフ騒乱、ソ連復活を意味するか
西側諸国はロシアに強い態度で臨むべきだ
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