
コンビニ大手のローソンが7月から千葉県内6店舗で「車中泊」の実証実験を始めた。ひと晩泊まって料金は2500~3000円。ホテルや旅館に泊まるよりも手軽だと思う人がいる半面、コンビニ特有の課題も少なくない。トヨタ自動車の「ハイエース」のライトキャンパー仕様を定常的に使用し、車中泊を経験してきた筆者が、車中泊に関する社会的背景も含めてローソンの試みを検証する。(ジャーナリスト 桃田健史)
「車中泊」実施中のローソンで周辺状況を観察すると…
千葉の外房は、東京オリンピックのサーフィン会場になるなど、サーフィンの名所である。
一宮町東浪見(とらみ)。国道128号沿いにあるローソン一宮東浪見店で7月14日から車中泊の実証実験が始まった。
駐車できるスポットは合計26枠あるほど敷地が広い。このうち3枠は大型トラック用だ。
ここから半径約5kmには、他のローソン、セブンイレブン、ファミリーマートなどがあるが、これらの中でローソン一宮東浪見店の規模は最大級との印象がある。
店舗の後方には、のどかな田園風景が広がり、その先の海岸線まで約1kmという立地だ。目の前の国道128号側には民家も複数ある。
車中泊のスポットがあるのは、国道128号を背にして店舗を見ると、店舗の右側隣5枠の最も外側の2枠。
車中泊利用者はこれら2枠をまとめて使うことができる。そこには、車中泊を示すノボリが3本立ち、クルマどめが2つ置かれていた。電気はローソン店舗側面にある電源に同店舗から貸し出される電源ドラムを使ってクルマまで約10m引っ張る。
車中泊を利用するには、日本RV協会が運営するウェブサイトRV-Park.jpを通じて予約する必要がある。支払い方法はクレジットカードのみ。
「RVパーク」は、キャンピングカーメーカーなどでつくる業界団体・日本RV協会が独自に開発したものだ。ホテルや温泉施設などの駐車場の一部や遊休地を車中泊用に貸し出す仕組みで、全国に約500カ所(2024年12月時点)まで広がっている。
24時間使用可能なトイレがあることや、ゴミ出しなど、RVパークとして認定される各種の条件がある。
ローソン車中泊は、このRVパークのシステムを活用する。通常、RVパークの利用には会員登録の申請料3万円と年間登録料1万円がかかるが、今回は26年6月30日までの実証実験であるためこれらの費用はかからない。ただし、車中泊利用者は利用規約を理解した上で利用登録する必要がある。
このようにRVパークという利用のルールが整った既存のシステムであることから、ローソンにとってコンビニ初となる有料車中泊を実施するハードルは低かったはずだ。
ただし、コンビニ特有の環境における車中泊の課題もある。