米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が推進する安価な電気自動車(EV)バッテリー技術が昨年、世界最大の自動車市場である中国を席巻した。テスラと競う欧米各社に新たな課題を突きつけている。中国の公式データによると、昨年の中国自動車向けバッテリー生産で「リン酸鉄リチウム(LFP)」技術を使ったバッテリーが全体の57%を占め、半分に満たなかった前年からシェアを拡大した。LFPバッテリーが中国市場でトップに踊り出た背景には、バッテリーの電極にニッケルなど他の金属よりも比較的安価な鉄を使っていることがある。中国では、大衆車市場でEVが浸透するのに伴い、LFP系バッテリーが台頭した。中国で2021年に販売された乗用車のうち、EVが大半を構成する「新エネルギー車」は6分の1を占める。