最近、「遺伝子検査」「遺伝子診断」という言葉をよく耳にするようになりました。遺伝子を調べれば、特定の病気にかかるリスクがわかると言いますが、それだけではありません。最先端医療の現場では、その人の遺伝子を解析して脳を効率的に働かせるために必要な栄養素を特定、補充してパフォーマンス向上に役立てるという治療がおこなわれています。そこで今回は、医師で労働衛生コンサルタントの小倉行雄さんの新刊『ビジネスエリートのための医学的に脳のパフォーマンスをMAXにする方法』(青春出版社)から、経営者やスポーツ選手がひそかに実践する「ハイパフォーマンスを生み出す最新医学事情」を抜粋紹介します。
その人のパフォーマンス向上に必要な栄養素を遺伝子診断
私のクリニックでは、最新の遺伝子検査「メチレーションに関するSNIPs(スニップス)検査」をして、その人の脳内回路(メチレーション回路)のどの部分が回りにくいために、本来持っている能力が発揮できなくなっているのか、遺伝的に足りない要素は何かを調べています。
一般に、遺伝子検査というと、21トリソミー(いわゆるダウン症候群)などの染色体異常を調べる検査を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、私がおこなっているのは、重大な染色体病や遺伝病につながる検査ではありません。調べるのは遺伝子のわずかな変異部分になります。
約30億個の塩基で構成された遺伝情報(ヒトゲノム)の中で1つが変異しているのであれば、ほんのちょっとした違いにすぎません。