「ボンド」映画は、本来の筋から脱線することもある。ドイツの10年物国債利回りは19日の取引で一時、2019年以来初めてプラス圏に浮上した。前日には、米国債10年物の利回りが2年ぶり高水準に達していた。投資家が中銀のタカ派転換を織り込み始めた9月以降、先進国の債券市場はほぼ足並みをそろえて推移してきた。株式相場はその圧力に屈し、利益が遠い将来に見込まれる投機的な新興企業は特に、売りにさらされている。しかし、その背景にある国債の動きには理不尽なものがある。全ての市場で理にかなっているわけでないことは確かだ。米連邦準備制度理事会(FRB)と英イングランド銀行、カナダ銀行はもはや、インフレの主な原因は供給制約で、金利を上げても効果がないとは考えていないようだ。しかし、欧州中央銀行(ECB)と日銀の考えは全くそのように変化していない。