多くのビジネスパーソンの支持を集める、登録者60万人超えの「サラリーマンYouTuber」、サラタメさん。
注目の処女作『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』は600ページ超えの超大作で、まさに“鈍器本”だ。
「仕事がデキない」「残業だらけ」「上司とソリが合わない」「転職したい」「老後のお金が不安」といった、人生100年時代を生きるサラリーマンの悩みを、まるごと解決してくれる本書から、その一部を抜粋して紹介する。

「転職活動」を「受験勉強」のように勘違いする“ハイスペ人材”が陥る致命的な落とし穴Photo: Adobe Stock
〈結論〉
・自己PRで証明すべきは「再現性」
・ハイスペ自慢は「再現性」を演出できない
・志望企業と自分の「マッチング」を意識する
・そのために、1.相手目線 2.具体的行動 3.急所を狙う

マモル:自己PRって何をどうアピールすればいいんですか? ボクが誇れるのは、TOEIC®スコアが700点だってことくらいかな……。

サラタメ:私は英語全然ダメなので、TOEIC®700点はスゴいと思いますが、転職の自己PRではそこまで強い武器になりません……!!

マモル:え、そうなんですか!?

サラタメ:はい、新卒の就活はある基準を超えるための「ハイスコア勝負」だったと思うんですが、転職活動はあくまで「マッチング勝負」だからです。

マモル:TOEIC®の点数を使って、ハイスペックな人材だと証明するより、相性のよさを証明するほうが効果的ってことですか?

サラタメ:そうです! 具体的には、前の項目で触れた「再現性」です。「御社の求める条件にマッチしているので、すぐに活躍できますよ」とアピールすべきなんです。

マモル:なるほど、「再現性」ですか……。具体的にボクは何を伝えればいいんですか?

サラタメ:簡単にいうと、「今の会社でどんな仕事をしてきたか」を伝えればOK。自分の資格やスペックの高さより、どんな工夫をこらしながら仕事をしてきたかを伝えるのが、最も「再現性」を演出できます。

「再現性」を感じさせる
自己PRのコツ3つ

サラタメ:結論、この3つがコツです! 応募書類でも面接でも強く意識してください。

コツ1.「自分」ではなく「相手」目線
コツ2.「実績」より「具体的行動」
コツ3.「急所」を狙う

自己PRのコツ1.
「自分」ではなく「相手」目線

 これは基本中の基本ですが、自己PRは自分目線の「主観的な情報」ではなく、相手目線でわかりやすい「客観的な情報」を軸にアピールします。

【ダメな例】自分目線でわかりにくい主観的情報
「私は営業職で、常にお客様に喜んでもらうことを心がけました」
→「喜んでもらった」は自分目線での感想でしかない

「A社という得意先を3年間担当し、最後の年度にやっとの思いで目標の売上を達成しました」
→「やっとの思い」に、どんな試行錯誤があったのかわかりにくい

【よい例】相手目線でわかりやすい客観的情報
「〇〇業界の直近5年の市場規模は、毎年2%ほど縮小を続けていますが、そんななかで私は、営業職として主要顧客に対する売上を、5年連続で5%増加させました」
→全体の傾向と自分の実績、ともに数字が入ることで「何が変わったのか」「どうスゴいのか」、初対面の相手にもわかりやすい

自己PRのコツ2.
「実績」より「具体的行動」

 コツ1では「わかりやすく伝えるために、客観的数値で実績を示そう」と言いましたが、実は「数値」より効果的に「再現性」をアピールできるものがあります。

 それが「どんな課題に対して、どんなアクションを起こしたか?」、つまり「具体的行動」です。「実績」より「具体的行動」こそ、最高の自己PRになります。

 なぜ「実績」だけでは「再現性」が伝わりにくいのか?

 それは「前年比売上〇〇%」という実績は、前提となる数値基準により評価が変わってしまうためです。その数値が出たときのトレンドや特殊な時代背景次第では、まったく意味を持たないものになってしまいます。

 一方、「具体的行動」は、それだけで「再現性」を感じさせます。

 数値として結果が見えにくいバックオフィス業務(総務、人事、経理等)の方でも、面接時に効果的なアピールができます。

サラタメ:特に「STAR※」を意識し、「具体的行動」をアピールすると最強。めちゃくちゃ採用担当者に刺さります。

もし、経理担当者が「STAR」を意識して
具体的行動をアピールするなら

・状況(Situation):弊社では、各部署の予算状況をエクセルで集計していました。
・課題(Task):決算期は、各部署の担当者がその集計作業に2週間ほど取られてしまい、別の業務が滞る課題がありました。
・行動(Action):各部の担当者が経理システムからデータをダウンロードし、それをコピペするだけで自動集計される新フォーマットをつくり、全社に展開。
・結果(Result):各担当が3日で作業を終えられるように、業務効率化に貢献しました。

 重要なのは、課題(Task)を上司から与えられるのではなく、自ら見つけ出している点です。自分で課題を設定する姿勢、そして映像を思い浮かべられるくらい具体性があると、採用側は強く「再現性」を感じます。

「STAR」とは?
「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の頭文字を取った言葉。面接でよく使われるフレームワーク。具体的行動だけでなく、「どんな状況だったか?」「自らどんな課題を設定したか?」「どんな結果になったか?」まで話すと、より「再現性」が伝わる。

自己PRのコツ3.
「急所」を狙う

 応募する企業の求人情報には、必ず「こういう人材がほしい」と「求める人物像」、いわば急所が公開されています。その急所を狙うのです。

 ここまで紹介したコツをもとに、「客観的数値をもとにした実績」「創意工夫のある具体的行動」をアピールできていても、志望企業が求める人物像とずれていたら意味がありません。「マッチング」を演出するための、根幹となるポイントです。

 たとえば、ホワイト企業は基本的に、穏やかな社風が多く、個人プレーよりチームプレーを重視します。そんななか、個人のスキルや実績をアピールしすぎても、逆効果になってしまうのです。

(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)

〈まとめ〉
・自己PRで証明すべきは「再現性」
・ハイスペ自慢は「再現性」を演出できない
・志望企業と自分の「マッチング」を意識する
・そのために、1.相手目線 2.具体的行動 3.急所を狙う