ESG投資家の最大かつ最も大胆な主張は「環境・社会・企業統治面の基準に基づく投資は、世界をよくするだけでなく、より多くのリターンを得られる」というものだ。筆者はどちらの点にも同意できない。成長著しいグリーン債市場でさまざまな問題が鮮明になっており、ESG評価が高い企業の株式も似たり寄ったりだからだ。グリーン債とは、政府や企業が調達資金の少なくとも一部を環境に配慮した用途に振り向けることを約束した債券で、まさに順風満帆な時を迎えている。昨年の発行額は過去最高で、BNPパリバの予測によると、今年の世界発行額はさらに60%増えて9000億ドル(約103兆円)に達する見通しだ。英政府が昨夏に発行した初のグリーン国債は、英国債として過去最高の需要を集めた。こうしたグリーン化の流れは、欧州から世界全体へと急激に広がっている。