私たちは断り方を忘れてしまったのだろうか。危機の最中に仕事を続けて2年、仕事と私生活を分ける境界線は曖昧になった。私たちは仕事を自宅ですることが多くなり、上司は私たちが自宅にいることを知っている。従業員は上司と直接顔を合わせることができない状況下で、自分の能力を証明したがっている。上司と部下の間には新たに暗黙の契約が出来上がった。仕事は好きな場所でしていいが、その代わり、常に仕事モードでいることになる――。「君は幸運にも家にいることができる。私の言うことを聞いてもらおう。雇用主はこんなふうに感じている」。パーデュー大学の経営学教授で、仕事と生活の境界線を研究するエレン・アーンスト・コセック氏はこう話す。