「本気で普及率80%を目指すのか?」。ジェネリック医薬品の学術団体である日本ジェネリック医薬品学会(日本GE学会)が掲げた目標数字に多くの医療関係者が驚いている。
厚生労働省は、2013年度以降における後発医薬品(ジェネリック医薬品)のさらなる普及促進に向け、今年度中に「後発品使用促進のロードマップ」を作成する。ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に、他社から製造販売される有効成分が同一の医療用医薬品のこと。効き目が同じで、先発の新薬よりも価格が3割以上安いため、国は医療費削減の一環として普及を推進している。
日本GE学会はロードマップを策定する厚労省に対し、ジェネリック医薬品の普及率(数量ベースのシェア)として15年度末までに65%、17年度末までに80%という目標値を提言した。
もっとも65%や80%という普及率は、実態から20%ほど余計に膨らんでいる数字だ。厚労省がジェネリック医薬品の普及率の計算方法を従来とは異なる「新分母表示」に13年度から切り替えるためだ。分母となる医薬品総数から特許期間中の新薬や生薬などが除かれるようになる。
日本GE学会が掲げた目標値は、従来の計算方式では15年度が40%、17年度は50%となる。
厚労省が掲げてきた12年度までの現行目標は30%である。同省調査によると、11年9月時点の普及率は22.8%。業界団体である日本ジェネリック製薬協会が8月下旬に発表した12年4~6月のシェアは25.3%だ。
かなり目標値に近づいているが、現時点で目標達成は困難な状況。80%(従来計算方式で50%)という数字は、かなり強気の目標であることに変わりはない。