「ジェネリック医薬品」という言葉を聞いても、よくわからない人も多いでしょう。
新薬の開発研究には10~20年の期間と200億円以上もの研究費がかかります。そのため新しい薬は先発薬とも呼ばれ、研究費を上乗せして価格が設定されるので一般的に高価です。ただし、長年の商品開発の対価とし、20~25年間の専売特許が与えられ、その期間は他社ではその薬剤を製造販売できません。
でも、特許期間が終われば、他の製薬メーカーも同じ成分の薬を製造し販売できます。これが後発薬、別名「ジェネリック医薬品」。ジェネリック医薬品は研究費をほとんど必要としないため、先発薬より安く販売できます。ジェネリック医薬品の価格は、先発薬の70%からスタートし、その後は価格の見直しでさらに安価に。やがては半額以下になる場合もあります。
ただし、このジェネリック医薬品が存在するのは、医療機関で医師が記した処方箋による薬だけで、市販薬にはありません。さらに、比較的新しく開発された薬剤などでは、現在はまだ特許期間内で、ジェネリック医薬品が存在しないものもあります。
特に、治療が長期間になりやすい高血圧、高尿酸血症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)など慢性疾患では、先発薬からジェネリック医薬品に変えることで薬代の差は大きく、年間約5万円から2万5000円程度に減る場合もあります。これは、個人の医療費の節約になるし、さらに国の医療費の削減にも関わります。わが国の医療費は30兆円を超え、このうち約20%が薬剤料で、年間の薬剤料は約6兆~7兆円と推定されています。もし、可能な範囲でジェネリック医薬品を使うと、1兆円程度は削減できると考えられます。
受診時に医師に「ジェネリック医薬品を希望」と申し出ても大丈夫。または、医師が処方箋に先発薬名を記入しても、院外処方箋を持参した薬局で薬剤師に「ジェネリック医薬品を希望」と伝えると変更できます。場合によっては先発薬からの変更に制限がありますが、ジェネリック医薬品とは何か理解しておくことは賢い患者になるコツの一つです。