1990年代初頭にソビエト連邦が崩壊した際、それまで「第52設計局」と呼ばれ、大陸間弾道ミサイルの製造で知られていた精鋭の兵器供給組織は苦境に陥った。軍事支出があまりにも急激に減少したため、同組織は鉄道の時刻表パネルなど民生用機器の製造を強いられた。同組織の窮状は、ロシア軍の衰退の典型例だった。一部地域で徴兵が停止され、兵士の任務放棄も増え、一部将校は政府の給与支給が滞ったため住居を失った。軍の装備品は放置されてさび付き、部品がはぎ取られた。新型兵器の設計、技術開発の資金は失われた。ウラジーミル・プーチン氏が権力の座についてからの20年以上の期間に、こうした状況は一変した。現在のロシアの戦闘能力には、充実した訓練を受けた兵士の一団、極超音速の戦略ミサイル、ステルス機を捉える能力を持った対空ミサイルシステムなどが含まれる。