北京冬季五輪が4日に開幕するが、勝負のスリルはなぜか消えうせた。その一因は、新型コロナウイルスのパンデミックと中国の「ゼロコロナ」政策だ。これによって、地元の観客の観戦さえ禁じられている。しかし最大の問題は、ホスト国である中国の状況が、2008年の北京夏季五輪の時とは違うということだ。北京夏季五輪の各種競技は、新たに豊かさを手に入れた中国のお披露目パーティーだった。ジョージ・W・ブッシュ米大統領(当時)ら世界の大半の指導者が会場に姿を見せた。中国政府が国際ルールに従い、政治的にもっと解放的になる、と世界はまだ信じていた。現在国家主席の習近平氏は、当時はまだ権力を握っていなかった。今回、中国の富や国力といった呼び物は消えた。今大会に関してこれまでに出された印象的なメッセージは、米連邦捜査局(FBI)が米国人に対し、iPhone(アイフォーン)やパソコンを自宅にとどめ、その代わりにプリペイド式携帯電話を携行するよう勧告したことだ。使い捨て携帯なら、当局にとって受け入れがたい考えを中国の大規模な監視システムで追跡、盗聴するのが一層困難になる。
【社説】使い捨て携帯電話が必要な北京五輪
米NBCテレビは監視国家中国の実態を伝えるか
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