ひろゆきが呆れる「陰謀論の信者が『いい人』すぎる」そのワケとは?ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の代表作『1%の努力』では、「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語っている。この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

あなたは「陰謀論の信者」ですか?

 みなさんは、陰謀論を信じますか?

 たぶん、こういう聞き方をすると、全員が「いいえ」と答えますよね。どんなに偏った考え方でも、本人からすると、それが「真っ直ぐ」に見えています。怪しいカルト宗教の中にいる人も、自分たちは「正しい」と思っています。

 ということで、できるだけそっちの世界に行ってしまわないように、陰謀論を信じる人の特徴を見ながら、自分をコントロールする考え方を紹介しましょう。

「悪」を倒せば、世界は良くなる?

 まず、僕がこれまで接してきた「陰謀論の信者」の特徴は、みんな「いい人」ということです。

 なんとなく陰謀論のほうに行ってしまう人ではなく、「社会を良くしたい」「報われない現状を変えたい」というエネルギーを発散する場所として、陰謀論が選ばれてしまうんですよね。

 そもそも、僕たちが日常的に摂取している「物語」も、じつは陰謀論を信じ込ませやすくしています。

 アニメや漫画では、「悪役」が出てきますよね。ボスキャラとか敵とかがあらわれて、それを正義のヒーローがやっつければ、世界が平和になる……、というやつです。

 あれを当たり前のように見てきた人は、「99%の人がマジメなのに、1%だけ悪い人がいる」と思い込んでしまいます。

 すると、世の中を見渡して、「悪人は誰だ!」「それを退治しなくちゃ!」という安直な考えになります。

アベノミクスで報われない人たち

 たとえば、「MMT(現代貨幣理論)」を信じている人たちは、政府がお金をどんどん刷れば、経世済民が果たせると思っています。

 しかし、それが果たせない。だから、「財務省が悪い」「財務大臣が悪人だ」という発想になってしまいます。

 彼らも根っこは「社会を良くしたい」という「いい人」なのは間違いありません。「アベノミクスで社会が良くなった」と言われているのに、一生懸命に頑張っても生活が良くならない人のほうが多いですよね。

 だから、他に原因を求めるようになります。

「政府がお金を配っていないからだ。だからMMTが必要なんだ」と言い出してしまうんですよね……。

「報われない」という前提で生きる

 根が優しい人や、努力して報われたい人。

 そんな彼らが「陰謀論」に巻き取られます。

 なぜなら、日本では「ラクして稼いでいること」は、あまり人に言ってはいけない社会だからです。

 努力して汗水垂らして稼いだお金じゃないと、堂々と自慢できないんですよね。

 でも、たとえば、スーパーやコンビニに行ったときに、その商品を買うかどうかは、努力とは関係ないですよね。

「頑張って試行錯誤して作ったのか、それとも、アイデアが浮かんでパッと完成してしまったのか」

 努力の有無は、関係ないはずです。

 世の中、そのようにできています。頑張ったから報われるとは思わずに生きないといけない世界なんです。

 その残酷さを受け入れることができれば、あなたは陰謀論には巻き込まれないでしょう。

 ヘタに陰謀論っぽい考えを信じかけているなら、そこから抜け出すためには、「自分が正しい」と思わないことですね。みんな間違っているし、自分の努力では何も変えられない。そういう前提で生きたほうがいいですよ。

 その前提があった上で、それでも無駄でもいいからできるようなことを考えたほうがいいと思います。カメラに向かってビールを飲みながらダラダラしゃべるとか、誰が読むのかわからないような漫画づくりに勤しむとか。社会の中ではなく、自分の中に、そういうものを見つけるようにしてください。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。著書に、44万部を突破したベストセラー『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。