もしアイスダンスの世界に人事部があれば大騒動になっていただろう。その理由は、常に身体の接触があることや衣装の露出度の高さ、評価の難しさという点だけではない。この密着度の高いスポーツで最も厄介な点は、演技の一部として二人の競技者に「ロマンス」が求められてきたことだ。五輪のアイスダンス競技ではこれまでメダルを獲得したプログラムには、火山に身を投げる悲恋の恋人たちをテーマにしたもの、3組の実際のカップルによる演技、そして公表はしていなかったものの、カナダの半数の人々が密かに結婚しているとみていたカナダ代表ペアによる「ムーランルージュ」の演技などがある。ふたりのアツアツ感が高ければ高いほど良いというのは、審美的な親密さに注目して金メダルが授与されるスポーツにとって、長年続いた信頼性の高い慣例であり、五輪の競技日程の中であえてバレンタインデーにメダルが決まるよう調整されたことも一度や二度ではなかった。
アイスダンスで金メダルとれる? 恋仲には見えなくても
この密着度の高いスポーツで厄介なのは競技者に「ロマンス」が求められてきたことだ
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