中国はこのところ、ロシアがウクライナを侵攻しないよう以前より明確な警告を発している。ロシアとの連携強化を図る一方で、米国と完全な敵対関係に陥ることを避けるため綱渡りの対応をしているようだ。中ロ関係は現在、70年前の冷戦初期以来最も緊密になっている。その背景には、米国と対決姿勢を取ることが両国にとって共通の利益になるとの判断がある。中国の習近平国家主席は今月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談で、西側諸国と対立するロシアにこれまでで最も強い支持を表明した。しかし中国政府はその後、外交交渉を通じた危機解消を目指すべきだと呼び掛けるなど、米国とその同盟諸国に近い姿勢をとるようになっている。中国の外交官や中国政府アドバイザーらによれば、こうした方向転換は、最高指導部の1週間以上に及ぶ密室での協議の末に打ち出されたもので、対米関係が現状以上に敵対的になるのは避けたいとの思惑を反映している。対米関係のさらなる悪化は、中国を西側諸国から孤立させ、長期的に中国の発展を損なう恐れがあるためだという。