米フィデリティ・インベストメンツでヘルスケア株式ファンドを運用するジャスティン・セガリーニ氏は、新型コロナウイルスの大流行が始まって2年になる今、病院や介護施設、薬局を運営する投資先企業の人員配置や必要な職員数を把握したいと考えている。同氏はスタッフの離職率や時給、給与などについて各企業の経営陣を質問攻めにしている。こうした人的資源の重要指標を公表する企業は極めて少ないからだ。「そうしたデータを探しても、容易に見つからない」と、運用資産12億ドル(約1380億円)の同ファンドを担当するセガリーニ氏は話す。「企業にはこの種のデータを報告する義務がない」米企業の収益見通しを知る上で、従業員のデータは重みを増している。だが投資家はほとんどそれに関する情報を受け取っていない。大企業の中には、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のように、サステナビリティー(持続可能性)年次報告書に何らかの情報を盛り込むところも増えてきたが、データは標準化されていない。また、四半期や通期の決算報告でこうした情報を定量化している企業はほぼ皆無だ。
従業員データ求める投資家、開示義務化を望む声
製造業からサービス業への移行で人的資源データの重要性増す
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