意外と知られていない
通販のビジネスモデル

 今や、テレビやネットで通信販売の広告を目にしない日はないのではないでしょうか。それを裏付けるように、個人消費の縮小が叫ばれて久しい今日において、通販マーケットだけは安定的に成長しています。日本通信販売協会(JADMA)は、2011年の通販マーケットの売上高が、対前年比9%増の5兆900億円になったと発表しており、これは、近年大手メーカーによる通販への参入が当たり前になるなど、プレーヤーが増えたことも一因となっています。

 売り手側は店舗を持つ必要もなく、買い手側も、自宅や外出先など居ながらにしてショッピングが楽しめる、そんな魅力を持つ通販ですが、実は、意外とそのビジネスモデルは知られているようで知られていないようです。

 この連載では、特に売り手側である企業の立場に立って、「通販ビジネスをロジカルに成功に導く方法」を考えていきたいと思います。

 それではまず、通販のビジネスモデルを知り、通販ビジネスを身近なものに感じていただくところから始めましょう。

 通販ビジネスは大きく二つのフェーズから成り立っています。

 第一のフェーズが「広告投資による新規会員獲得フェーズ」、第二のフェーズが、獲得した会員のリピート購入による「リピート売上獲得フェーズ」です。

 すでに通販ビジネスに携わっている人には当然と思われる話ですが、通常、「新規会員獲得フェーズ」は大赤字です!

 同じ商品(群)のリピート購入を見込まない前提の「総合通販」であれば、新規会員獲得の時期から黒字が出せるケースもあるかもしれません。しかし、化粧品や健康食品など同じ商品(群)のリピート購入を見込むことが前提の、いわゆる「単品通販」においては、新規会員という資産を広告投資によって獲得するのですから、残念ながら赤字は当たり前です。図1を見てください。

 新規会員獲得時の赤字を、一生懸命リピート購入を促して、販売利益をこつこつ積み上げ、黒字化していくわけです。

【図1】通販ビジネス「二つのフェーズ」
通常「新規会員獲得フェーズ」は大赤字!
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