紙幣を手に持つスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

生命保険は、人生のリスクに備えるための商品だ。しかし営業担当者への信頼が、思わぬ被害につながることもある。2026年に発覚したプルデンシャル生命の大規模不正は、保険営業の構造的な危うさを浮き彫りにした。なぜ「エリート営業」は暴走したのか。※本稿は、金融ジャーナリストの鈴木雅光『銀行の本店はなぜ仰々しいのか?』(幻冬舎)一部を抜粋・編集したものです。

保険会社はなぜ
悪評に神経質なのか

 昔、ちょうどバブル経済が崩壊した直後くらいですから、1990年代の半ばあたりの話です。

 私の知人に金融関係のライターがいました。その人物が某大手生命保険会社に関するネガティブな記事を書いたところ、呼び出しがかかったそうです。

 ところが、呼び出された場所は本店の応接室ではなく、とあるマンションの一室でした。「なぜ、こんなところに呼び出されたんだ……」と本人も不思議に思って、部屋のブザーを鳴らしたところ、豪華な食事とお酒、そしてなぜか美女が待っていたそうです。

 つまり接待漬けにされて、今後、できるだけ批判的な記事は書かないようにお願いされたというわけです。「それで受けたのかよ」と聞いてみましたが、本人はヘラヘラと笑うだけ。

 今どき、このような古典的なことはやっていないと思いますが、生命保険会社がいろいろな意味で政治力を持っているのは事実です。

 たとえば生命保険に加入すると、支払った保険料が所得控除の対象になります。控除には一定の上限額が設けられていますが、その範囲内で保険料をその年の所得から差し引き、所得税額が計算されます。