「ニホンの夜明けは近い」が大ウケ

 そんな状態が半年か1年ぐらい続いたでしょうか。局のほうでは「降ろしたほうがいいんじゃないか」って話も出ていたようです。

 先代の圓楽さんも心配して、何とかきっかけを与えようと思ったんでしょうね。折に触れて「木久ちゃんは面白いよ」って励ましてくれました。

 そんなある日、圓楽さんが「自分の好きなものをネタにするといいんじゃないか」ってアドバイスしてくれたんです。

 ぼくの好きなものって何だろうと考えたら、「そうだ、チャンバラが大好きだ」って思ったんですよね。時代劇映画だったら、子どものときからたくさん見てきた。

 ちょうどその頃、NHKのテレビで高橋英樹さんが主演の『鞍馬天狗』が始まったんです。それをヒントに、大喜利で答えをいうとき、ポーズを付けながら「杉作、ニホンの夜明けは近い!」って入れてみた。ぼくと同世代の人の頭の中に、鞍馬天狗のネガが入っていたんですね。それが大ウケしたんです。毎回やってたら、どんどん反応が大きくなっていきました。

 ヒントにしたのはNHKのドラマですけど、ぼくの「杉作」という口調は、子どもの頃に観た嵐寛寿郎さんの『鞍馬天狗』を元にしています。

 ただ「ニホンの夜明けは近い!」というセリフは、原作にも映画にもありません。ぼくのオリジナルなんです。これは流行語にもなって、ぼくが鞍馬天狗に扮したレナウンのテレビコマーシャルも作られました