欧米企業はこれまでのところ、今週発動されたロシアに対する経済制裁措置から大きな影響を受けていないようだ。ただ、国際金融市場も同じように切り抜けられるかは、現時点では見通せない。ロシアがウクライナに侵攻して以降、S&P500種指数とナスダック総合指数が3.8%以上の値上がりとなるなど、米主要株価指数は比較的底堅いパフォーマンスを維持している。投資家は衝突が激化する中でも冷静さを保っており、株安になれば押し目買いの機会ととらえる動きも目立つ。データによると、ロシアやウクライナに対するエクスポージャーによって米銀が抱えるリスクも限定的だ。米国の金融の観点から見てプラスの材料となるのは、平均的な株式ポートフォリオに占めるロシア株の比率は極めて低く、米企業も収益面でロシアへの依存はほとんどないという点だ。これに加え、欧米の大手銀行はロシアが2014年にクリミア半島を併合して以降、ロシアに対するエクスポージャーを著しく圧縮させてきた。