ロシアの侵攻に対するウクライナ国民の予想外に強力な抵抗によって、1994年のブダペスト覚書に注目が集まっている。ウクライナは同覚書に従って、国内にあった核兵器を放棄した。ロシアと西側諸国はこの譲歩の見返りとして、かつて旧ソ連の一部だったウクライナの主権と領土保全を保障すると約束した。その後、2014年にロシアはクリミア半島を併合した。クリミアは間違いなくウクライナの領土だった。当然ながらウクライナ国民は、20年前に核による抑止力を放棄したことで攻撃を受けやすくなったのではないかとの疑念を抱いた。ロシアがウクライナ全土を支配下に置こうとしている今、ウクライナ国民は同じ疑念を抱いている。ロシアの行動を注視している悪意ある国々を含め、多くの諸国が自前の核兵器を求めることは避けられないだろう。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、こうした核兵器を持つことが他国への攻撃の許可証になること、核兵器を持たない平和的な国が侵略者の餌食になることを示した。