米国の主要スマートフォンメーカーで、数十億人が知るブランドであり、さらに多くのハイテク部品メーカーにとって最重要顧客。社名は聞かないでほしいが、この企業はアジアでは密かに「果物会社」と呼ばれている。日本で栽培されているあの果物の品種「ふじ」の名前で呼ばれることもある。他にも「3兆ドル企業」――実際の時価総額よりも少々多い――や「名誉ある北米の顧客」、「ビッグA」という言い方もある。スマホ用カメラモジュールを製造する中国のオーフィルム・グループ(欧菲光集団)は1月に証券当局に提出した書類の中で、2021年の損失額が最大で4億2600万ドル(約448億円)に上る見通しであることを明らかにした。「海外のある特定の顧客」とのビジネスを失ったことが一つの理由だという。