米国の政治家らは突然、米国によるロシア産石油の輸入を禁止すべきと躍起になっており、バイデン政権もこれに同調しそうだ。非常に残念なのは、これが総じて、主要な問題への対処を回避するための見せかけの象徴的行動だという点だ。その主要問題とは、ロシアのすべてのエネルギー輸出を制裁対象にすべきか否かという判断だ。石油と天然ガスによる収入は、ロシアの政府予算の半分ほどを占める。同国のウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナでの血塗られた戦争の必要資金を確保する上でも不可欠となる。ロシア産エネルギーへの制裁の問題点は、それが世界経済、特に欧州経済にも打撃を与えかねないということだ。欧州諸国は、石油消費量の約25%、ガス消費量の約40%をロシアからの輸入に頼っている。しかし、西側諸国がこの痛みを受け入れない限り、世界はプーチン氏の戦争マシンに資金を提供し続けることになる。
【社説】ロシア産石油、米単独の禁輸では不十分
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