ロンドンのニッケル市場で今週、潮が引いた。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の不朽の名言を借りるなら、「誰が裸で泳いでいたか」が判明した。追い証を手当てできなかった中国のニッケル生産大手だ。追い証とは、レバレッジ(借り入れ)による取引で損失が発生した場合に、証券会社から差し出すよう求められる追加保証金だ。ロンドン金属取引所(LME)は、市場の浄化作用に任せてこの借金まみれのトレーダーを排除することはしなかった。それどころか、売買を取り消すことでその代償から救うことを決断した。これは不透明なコモディティー(商品)における偶発的な事故ではない。自由市場を損ない、間違ったインセンティブ(動機付け)を生み出す傾向が招いた当然の帰結だ。大きすぎてつぶせない存在でなくても、当局は金融グループの経営破たんを容認することに及び腰になっている。
ニッケル市場の大惨事、モラルハザードの教訓に
ロシアのウクライナ侵攻による世界の混乱はさらに惨事をもたらすだろう
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