昨年、中国の習近平国家主席はほぼ無敵の存在に見えた。だが今、中国を資本主義や西側世界から遠ざけようとする同氏の取り組みは同国経済の先行きを不透明にし、その権力基盤にかすかな亀裂の兆しがあることを露呈した。中国の政策担当者は昨年末、驚きを覚えた。習氏の指示でIT(情報技術)大手から不動産デベロッパーまでに至る民間企業に締めつけを強化した後、中国経済が急激に失速したためだ。一方、習氏が厳格な新型コロナウイルス対策の一部として進めるロックダウン(都市封鎖)は、コロナ感染の急増を受けて再び強化され、個人消費と工場生産の双方に打撃を与えている。さらに、ウクライナ侵攻に先立つ2月初めにロシアと結んだ合意は中国と西側諸国の溝を広げており、習氏の国内・外交政策課題を実現することで中国の払う代償がいかに大きくなる可能性があるかを浮き彫りにした。