「コロナ陰謀論」で日本に広がるデモ活動の真意、孤立を狙った落とし穴とはPhoto:DigiPub/Gettyimages

新型コロナウイルスやワクチンは、一部の人間が仕組んだもの――。こういった「陰謀論」に賛同する人がコロナ禍で増えている。日本も、そんな現象が起きている国の一つ。コロナ禍での陰謀論の動向と、なぜ陰謀論が生まれ、信じる人が現れるのか、その背景に迫った。(取材・文/有井太郎)

ワクチンの目的は「人類管理」?
超大物をも巻き込んだ陰謀論

「新型コロナウイルスはビル・ゲイツによって作られた」。2020年春、こんな“陰謀論”が世界で広がった。多くの人は笑い話で済ますだろうが、この言説を信じる人は世界中で少しずつ増えていった。

 その結果、ビル・ゲイツみずからこの説を否定するまでに発展したのである。

 それ以外にも、コロナに関する陰謀論は数多く生まれてきた。「ウイルスの感染拡大は仕組まれたもの」「ワクチンで人類を管理するのが目的」「5Gの電波でウイルスが拡散されている」などが散見される。

「コロナ禍の初期は、このウイルスは『中国が作った生物兵器』という陰謀論が数多く見られました。その後、世界的流行に突入すると『コロナは存在しない』『単なる風邪の一種であり、何かしらの陰謀で流行が作られている』といった陰謀論が増加。その延長線上でワクチンに対する陰謀論も出てきました」

 コロナ禍の陰謀論の流れについてこう説明するのは、ライターの雨宮純氏。陰謀論をはじめ、悪徳商法やオカルトなどに関する取材を行っており、著書に『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト出版)がある。

 新型コロナウイルスやワクチンに対してどんな見解を持つかは、もちろん個人の自由だ。たとえばワクチンを接種するかどうかも、個人の判断に委ねられるのが大前提だ。しかし、科学的根拠のない情報や真偽のわからない陰謀論が拡散され、それを信じ込む人が増えるのは危険だろう。

 陰謀論が過熱しているのは、海外だけでなく日本も同様だ。実はここ最近、一部の陰謀論者が始めた動きが全国に広がり始めている。

 そこで本記事では、コロナと陰謀論の関係を取材した。雨宮氏の話をもとに、コロナ禍での陰謀論とそのリスクについて掘り下げた。陰謀論の裏でビジネスに誘導する動きや、LINEのオープンチャットなどで仲間を集める団体が日本全国に活動を広げているなど、知られざる実態が見えてきた。