ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ウクライナはどんな国?
北部は大西洋から西風が吹き込んで湿潤な気候ですが、南部は降水量が少なく乾燥しています。黒海に突き出したクリミア半島では、地中海特有の温暖な冬と暑くて乾燥した夏の気候があらわれます。
国土の中央を流れるドニエプル川のほか、国内を縦横に大きな河川が流れ、水資源が豊富で河川交通にも利用されています。国土の7割以上が農地で、とくにドニエプル川流域は肥沃な黒土(チェルノーゼム)地帯で世界的な穀倉地帯の一つです。
また石炭や石油等のエネルギー資源、鉄鉱石等の鉱物資源が豊富で重工業が発達しています。
ロシアとの関係
旧ソ連の構成国で1991年に独立しました。その経済力から旧ソ連時代にはロシアに次ぐ大国であり、ロシアと緊密な関係をもっていました。
CIS創設時の加盟国でしたが、クリミア半島にあるロシア人が多いクリミア自治共和国を、2014年、同国の国民投票の結果を根拠にロシアが編入したことでロシアとの関係が悪化し、同年にCIS脱退を表明しました。緊張関係が続き、2022年2月、ロシアはウクライナに対する軍事侵攻に踏み切りました。
ロシアに依存していたエネルギー調達先を分散するなど、ロシアから離れて欧米寄りに方針を転換しつつあり、EUへの加盟も目指しているところです。
1986年に、ベラルーシ国境付近に旧ソ連が建設したチェルノブイリ原発で大事故が発生しました。
ウクライナ
面積:60.4万㎢ 首都:キエフ
人口:4374.6万 通貨:フリヴニャ
言語:ウクライナ語(公用語)、ロシア語
宗教:キリスト教が多数
隣接:ベラルーシ、ロシア、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)