ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ベラルーシはどんな国?
国土のほぼ全域が低平な東ヨーロッパ平原にあり、約4割が森林で、農地と牧場等も約4割を占めます。黒海に注ぐドニエプル川やバルト海に注ぐ河川が国内を流れ、河川交通が盛んです。
東側はロシア、西側はポーランドと接する内陸国で、大陸性の寒冷な気候ですが、バルト海からの西風がさえぎられず吹き込むため、西部は緯度の割に温暖で湿潤です。
旧ソ連に属していた時代に日本では「白ロシア」と呼ばれ、1991年の独立後、当国の発音に従った国名を使うようになりました。
ヨーロッパ最後の独裁国家
1991年のCIS創設メンバーであり、ロシアとの連合国家構想もあるようにロシア寄りの政治と経済を進めてきました。また、1994年に就任した大統領の独裁政権が続いています。
経済面では、旧来の国営企業など管理的経済体制が残り、広大な農地や石油等の資源の存在、旧ソ連時代の技術等が経済を支えています。
農業ではライ麦、ジャガイモ、亜麻等が世界有数の生産量をもつほか、畜産や酪農も盛んです。工業ではトラクター、家電、自動車等の機械類や化学肥料の生産が盛んで、近年はIT産業も見られます。
隣接するウクライナ北端国境付近にあったチェルノブイリ原発で1986年に起こった事故では、放射性物質が南風に乗って国内に広く拡散し甚大な被害を受けました。
ベラルーシ共和国
面積:20.8万㎢ 首都:ミンスク
人口:944.2万 通貨:ベラルーシ=ルーブル
言語:ベラルーシ語(公用語)、ロシア語(公用語)、ウクライナ語
宗教:ベラルーシ正教48.3%、無宗教41.1%
隣接:ロシア、ウクライナ、ポーランド、リトアニア、ラトビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)