主要ケーブルテレビ局がニュースでウクライナに言及した回数は、2月24日のロシア軍の侵攻直後に一日で3000回を超えるまでに急増、その後も2500回近辺で推移してきた。
これは2020年の大統領選挙当日に、バイデン氏やトランプ氏の言動が報道された回数に匹敵する。ウクライナ危機への注目度は、大統領選挙並みということだ。
必然的に、米国の政治はウクライナ危機を中心に回り始めている。
3月1日の一般教書演説でバイデン大統領は、ウクライナ危機に全体の約2割の時間を割いた。新型コロナへの言及の約2倍に相当する時間配分だ。
米国民も強い印象を受けたようだ。前述のウォール・ストリート・ジャーナル紙の世論調査では、一般教書で最も印象に残っている話題として、ウクライナ危機を挙げる割合が35%と、次点の経済・雇用問題(14%)を引き離している。
支持率低下は底打ちしたが
「旗の下への結集効果」は小さい
11月に議会の中間選挙を控えるバイデン氏にとって、ウクライナ危機への対応が大きな意味を持つのは言うまでもない。
危機前から支持率が低迷し、中間選挙で民主党の大量議席減が予想される窮地にあった。さらにウクライナ危機で評判が下がれば、中間選挙は万事休すだ。
現状では、バイデン氏のウクライナ政策を支持する割合は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の世論調査では、過半数を割り込んでおり、「支持しない」とする回答ときっ抗している。
ウクライナ政策に関し、共和党と民主党の優劣を問う質問でも、4割弱が共和党に軍配を上げたのに対し、民主党が優れているとの回答は約3割と少数派だ。
米国では、国際的な危機に直面した際に、有権者が大統領の下に団結する傾向がある。「旗の下への結集効果」といわれる。
このことを象徴するのが、2001年に起きた同時多発テロ後のブッシュ大統領の支持率だ。
テロ前に50%程度だった支持率は、テロ後に90%前後にまで上昇し、翌2002年の中間選挙では、ブッシュ氏の共和党が下院で議席増を達成した。
近年の中間選挙では政権政党が議席を減らすのが普通であり、極めて例外的な勝利だった。
だがいまのところ、今回の場合は大きな「結集効果」は見られていない。



