「弱腰」批判受けるバイデン大統領
国内でも求心力回復で正念場
ウクライナ危機は、米国の国内政治にとっても激震だ。
国内での関心は高いものの、「9.11同時多発テロ事件」からイラク戦争に突き進んだ当時のような“熱狂”はないが、支持率低迷が続き11月の中間選挙に向けて窮地にあるバイデン政権には、この危機を求心力回復の機会にする以外に選択肢はない。
ロシアの侵攻を許し、ウクライナへの武器供与の遅さなどで国内からは「弱腰」批判もあるなか、民主党内に不協和音を抱えつつ、民主主義や欧州との同盟の重要性を説き続けてきたバイデン大統領にとっては真価が問われる局面だ。
米国はウクライナ危機で持ち切り
注目度は大統領選挙並み
ウクライナ危機の前後で、米国政治の論点は激変した。
米国民は外交への関心が低いといわれるが、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が3月初めに行った世論調査では、約9割がウクライナ情勢を「注意深く見守っている」と回答した。
政治が取り組むべき最重要課題としても、ウクライナ危機を挙げる割合がインフレに次いで二番目に多かった。