ジャーナリストの池上彰氏撮影/佐久間ナオヒト

混迷が続くウクライナ情勢。ウクライナで、そして世界で今何が起こっているのか。特集『混迷ウクライナ』の#16ではジャーナリストの池上彰氏が、ウクライナ侵攻の伏線となった米国の失態について解説。激変する国際情勢が5分で理解できる内容だ。(構成/ダイヤモンド編集部)

米バイデン大統領の重大な失言が
プーチン氏を安心させてしまった

 米国は、バイデン大統領が2021年の時点で大きな失言をしています。「ロシアがウクライナに軍事侵攻しても米軍は派遣しない」という主旨です。米国が軍事介入しないと明言したなら、プーチン氏は安心して攻め込めますよね。

 バイデン氏はこのときに、定番の言い回しをすればよかった。それは、「テーブルの上にはあらゆる選択肢がある」というものです。取りあえずそう言うだけでも、ロシアに対する抑止力になりました。それなのにバイデン氏がこんな失言をしてしまった背景には、中国とすでに事を構えているという事情があります。