各種の世論調査を集計して分析・集計している政治サイトによればバイデン氏の支持率は、3月中旬時点で40%台前半まで上昇し、40%を割り込んでいた支持率が底を打った感はあるが、急上昇という状況ではない
世論の中心は愛国心ではなく「連帯」
党派対立で一枚岩になれない米政治
結集効果が大きくなるのは、米国自身への脅威が明確となり、愛国心の高揚につながる場合だが、ウクライナ危機の場合、戦場が欧州にあるからだろう。
現時点で米国民が感じているのは、ウクライナ国民への連帯であり、愛国心とは趣が異なる。
YouGovが3月上旬に行った世論調査でも、ロシアからの原油の禁輸に賛成する回答者のうち、8割強が「ウクライナを助けること」を理由に挙げており、「愛国的な行動だから」との回答は3割程度だった。
党派対立の存在も、結集効果が小さい一因だ。
トランプ前大統領は、「自分が大統領であれば、ウクライナ侵攻は起こらなかった」と、バイデン氏の対応を強く批判している。政治の舞台で党派を超えた結集がなければ、大きく世論が動くのは難しい。
与党の民主党内にも、ウクライナ危機の対応で不協和音がくすぶっている。
左派は、バイデン政権の誕生以来、軍事費の削減を目指してきたが、先頃妥結した2022年度の予算審議で軍事費の大幅増をのまざるを得なかった。
気候変動対策を重視してきた流れも、ガソリン価格の上昇によって、石油や天然ガスの増産を容認する声が強まり、左派には不満が鬱積することになっている。
中間選挙の戦略を意識
インフレは「プーチンによる値上げ」
だからといってバイデン大統領は、ウクライナ危機が国内政治に与える影響から逃げるわけにいかず、むしろ危機を中間選挙に向けた選挙戦略の再構築に利用しようとしているようにみえる。
英語には、苦境を最大限に生かすという意味で、「レモンからレモネードを作る」という言い回しがある。苦い現実から、いかに好材料を導き出すかが、バイデン政権の知恵の出しどころというわけだ。
約40年ぶりというインフレ急伸が続くなかで、このところバイデン大統領は、ガソリン価格の上昇などを「プーチン氏による値上げ」と形容し始めた。



