夢中になれるものを探すときには、損得勘定をはさむことなく自分に正直になる必要がある。生活なんてどうにでもなる。困ったら生活水準を下げればいいだけだ。

◇「点」を打つ

 アクションを起こせば、そのアクションが次のアクションを呼び込んでくれる。そうやってアクションを続けた先に、夢の実現があるのだ。

 著者はたびたび、スティーブ・ジョブズの「Connecting the dots=点をつなぐ」という言葉を引用する。これは、未来をあらかじめ予測して点と点をつなぎ合わせることはできないが、いまやっていることを信じて行動すればやがて点と点がつながるはずだ、という意味である。

 あなたもどんどん「点」を打ってみてほしい。「あれもこれもと手を出さず、腰を据えろ」「堅実にひとつの仕事をこなせ」などと外野から非難されるかもしれないが、その非難には根拠などないのだから、気にしてはいけない。ひたすら点を打てば、雑音は自然と遠のいていく。

 やがて「点」は、思わぬかたちであなたを救うだろう。あなたが多くの「点」を打つのは、無茶でも無謀でもない。変化の激しい現代においては、むしろ堅実な生き方なのである。

◇アクションを増やして運を手繰り寄せる

 成功には、能力と運が必要だ。運は自力ではどうにもならないかというと、そうではない。

 著者は以前、秋元康氏から、ピカソが世界でもっとも有名な画家になった理由を教えてもらった。もちろんさまざまな理由が挙げられるだろうが、秋元氏が伝えたかったのは、ピカソが多作だったということだ。作品を大量に作ったからこそ、ピカソは後世に残る画家になりえた。

 ヒットメーカーである秋元氏ですら、ヒットの裏には数知れない失敗がある。ヒットした仕事は、秋元氏が打ってきた大量の「点」のほんの一部にすぎないのだろう。

 成功するために大事なのは、アクションの母数を増やすことだ。運は、あなたの力で手繰り寄せられるのである。