ルー・ジャンインさん(34)は新型コロナウイルス検査で陽性と判定されておらず、何の症状もなかった。しかし3日午後7時、上海中心部に住む技術職のルーさんは、集団隔離センターに向かうバスへの乗車を命じられた。それから16時間近くたっても、ルーさんはまだバスの中にいた。頭からつま先まで防護服に身を包んだルーさんはその間、何も飲食できず、トイレにも行けなかった。中国最大で最も繁栄した都市である上海での、コロナ感染急拡大に伴う大混乱に巻き込まれた一人だ。4日午前8時半、ルーさんはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記者に「生きてここを出ることが私の唯一の願いだ」と語った。その何時間か前には、密閉されたバスの中で自撮りした写真をインターネットにアップしていた。額には汗の粒が光り、プラスチック製フェースシールドは息で曇っていた。