14年前の金融危機と過去1年のインフレ高進は、専門家にとって総じて予想外の出来事だった。どちらも米国を震源地として世界中に広がった。今回のインフレ再来は2008年の金融危機と同様に、政策担当者の考え方や施策の優先度を根本的に変えることになるかもしれない。それが、国際決済銀行(BIS)のアグスティン・カルステンス総支配人が5日に行った演説の最も重要な点だ。メキシコ中央銀行元総裁のカルステンス氏は、「われわれは、インフレ面の環境が根本的に変化しつつあるという可能性に目を向けなければならない。1990年代からわれわれが経済動向を分析する際に使ってきたレンズは、もはや適切ではないかもしれない」と語った。