ウクライナでのロシア軍の失敗を目にした西側諸国の専門家らはすぐにも、ロシアの能力不足によって米国の軍事力強化の必要性が軽減されると主張し始める可能性が高い。しかし、ロシアの失敗は兵たん面の問題に起因するものだ。そして米軍の能力もロシア軍と同様に、大国との大規模な戦いに向けた態勢が整っているとは言えない。ロシア軍は、軍事パレードに登場するピカピカの装備に大金を投じてきたにもかかわらず、兵たんには十分な資金を振り向けてこなかった。ロシア軍はソ連時代の軍隊と同様に、徴兵制度に依存し続けており、軍備の保守を専門に担当する下士官も兵たんの訓練を積んだ士官も、十分な人数がいない。戦場では、3年間の訓練を受けた軍用車の運転手と、運転免許を持つ18歳の徴集兵との違いは大きい。ロシアはウクライナの崩壊を予想していたが、兵たん面の能力不足が原因で、多方面からの同時侵攻を持続できなかった。現在、ウクライナ北東部から撤退させた血まみれの部隊を、ドンバス地域に移動させようとしており、その過程で大量の武器・弾薬を放棄した。