20世紀はおおむね、石油を巡る争いによって地政学が形成された。今、21世紀の地政学は、石油からの離脱争いによって形成されるであろうことが一段と明確になりつつある。こうした変化は、気候変動への懸念から、いずれにしろ起こる運命にあったが、ウラジーミル・プーチン露大統領のウクライナ侵攻が今、西側諸国のロシア産石油やガスへの依存リスクを露呈させ、移行を本格化させようとしている。こうしたシフトは短期的には、旧来の化石燃料を地球上で融通し合ったり、この危機の間はむしろ産油量を増やしたりする新たなパターンを生み出している。しかし、中長期的には、ウクライナの衝撃によって、世界の石油からの脱却が加速するのはほぼ間違いない。そうした変化は国際関係に重大な影響を及ぼし、石油を軸にした古い関係の重要性が薄れる一方で、新たな関係作りが必要になる。