会社を辞めたい――。深刻さに差はあれど、ビジネスパーソンなら誰もが一度は思ったことがあるはずだ。その気持ちが原動力となり、実際に会社を辞めて転職や独立といった行動を起こした人もいるだろう。しかし、漠然とした「会社を辞めたい」という気持ちだけで職場を去ると、新天地でも同じような衝動に襲われかねない。「会社辞めたいループ」に陥らないための思考法とは。(清談社 鶉野珠子)
目的地が明確でない人は
負のループに陥りやすい
今年1月に出版された『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)という書籍が話題だ。Amazonの「転職よみもの」カテゴリー1位をはじめ、数々の書店やウェブストアで売り上げランキング上位に入っており、多くのビジネスパーソンが「働き方」に関心を向けている現状がうかがい知れる。
著者で、日本唯一の退職学、リザイン・マネジメントの研究家である佐野創太氏は「コロナ禍でビジネスパーソンの仕事に対する気持ちは二極化しています」と話す。
「パンデミックにより働き方も含めた生活スタイルが大きく変わったなかで、どういう生き方がしたいのか、その上で自分にとって『働く』とは何なのかを、見つめ直した人が大勢いました。今回のような前例のない事態においては、会社の対応が気持ちを左右したケースが多かったのです。会社の対応に好感を持った人は『大変な時期だけど頑張ろう』と今の会社にとどまって奮起していますし、不信感を抱いた人は退職を検討しています」(佐野氏、以下同)
だが、「今の会社が嫌だから」という理由だけで新天地に飛び込んでは、再び「会社辞めたい」というループに陥りかねない。そもそも、こうした負のループが生まれてしまうのは、なぜなのか。