中国における3月の不動産開発上位100社の新築住宅販売は、前年同月比で53%減少した。不動産セクターは中国のGDP(国内総生産)の3割近くを占めるといわれる。投資用マンションの建設と販売が減少したことと、ゼロコロナ対策の徹底により、中国の景気減速リスクが高まっている。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
中国経済の減速傾向が鮮明になっている。不動産バブルの崩壊と新型コロナウイルスの感染再拡大の悪影響が大きく、中国経済は二つのマイナス要因に挟撃されている。いずれも、共産党政権の想定を上回る勢いで中国経済を下押ししている。
3月の暫定値ではあるが、不動産開発上位100社の新築住宅販売は、前年同月比で53%減少した。原因として、共産党政権が不動産バブルの軟着陸(バブルつぶし)を目指して、不動産融資などの規制を強化したことが決定的だ。
また、コロナ禍対策に関して、習近平政権はゼロコロナ対策を徹底している。それは社会と経済活動の維持に欠かせない人流や物流、サプライチェーンを寸断している。
個人消費、自動車などの生産、さらに建設活動などの鈍化は免れないだろう。2022年、中国が5.5%前後の経済成長率目標を達成することが難しくなっている。不動産企業向けのローンなどを組み込んだ「理財商品」の価値がさらに下落し、共産党政権への不平や不満が増える展開も否定できない。
習政権は3期目続投を円滑に実現するために、急速かつ大規模な景気刺激策を打ち出さなければならないと危機感を強めているだろう。